盲導犬、救急車への同乗を拒否される
2019年4月26日、東京で救急搬送に付き添った視覚障害のある女性が、救急車への盲導犬の同乗を拒否されたというニュースがありました。
東京消防庁は認識不足による誤った指示だったとして謝罪し、再発防止を図るそうですが、飲食店での入店拒否だけでなく医療機関でも同伴拒否をされることがあるようです。
身体障害者補助犬法…補助犬の同伴拒否はしてはいけません
厚生労働省のホームページには、『身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために ~医療機関に考慮していただきたいこと~』として、資料が用意されていました。
ここにあるように、『身体障害者補助犬法(2002年施行)』では
国や自治体が管理する公共施設、民間公共交通機関、不特定多数の者が利用する施設(商業施設・飲食店・病院など)において、やむを得ない場合を除き、補助犬の同伴を拒んではならない
とされています。
つまり、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)は、電車やバス、タクシーだけでなく、ホテルやレストランなども「犬アレルギーの方がいる」「ペット不可だから」などとという理由では、同伴拒否はできないということです。
衛生面を気にする声。その理由は『正しく理解されていない』から
病院や救急車も、もちろん同伴拒否はできないのですが、しかし「衛生面が気になる」という声があるのも事実。
本来、補助犬は特別な訓練を受け、きちんとした衛生管理もされているので清潔なのですが、そういったことの周知がされておらず理解が進んでいないのが大きな要因です。
ですので、補助犬についての正しい知識を得てもらうことと、病院側の事前の受け入れ体制づくりが重要となってきます。
医療機関での受け入れに必要なこと
- 環境整備と、担当者や部署の設定、従事者の対応方法などの周知
- ユーザー以外の患者さんへ不安を与えないよう、事前の周知や配慮
受け入れの検討ポイントとして、補助犬のための特別な場所を決めておくべきかどうか、また待合室などの公共のスペースではアレルギーや犬嫌いの方のための配慮をどうするか、また排泄場所の確保など、事前にしっかりと検討しておかなければ、窓口ですぐには対応できないことがあります。
さらに、受け入れ体制を徹底させるために研修を行ったり、病院内に補助犬についての他患者用の案内を掲示する、また補助犬ユーザーへの受け入れ情報公開などが必要ですので、大きな病院ほど短期間で行うには大変そうです。
また、手術室など同伴できない場所・場合の受け入れとして
- 家族などに預けて同伴可能なエリアに待機させることができないか
- 病院内での預かり場所などの検討と、担当者などの体制の検討
- 預かっている間に起こったトラブルへの対処法など
の検討も必要です。
ユーザーが補助犬と一緒に『その他の患者と同じく』過ごせるようにすること
補助犬は、ユーザーの『目や手、耳となるもの』であり、ペットではありません。
杖や車椅子と同じく、ユーザーの生活をサポートする『身体の一部』なのです。
例えば手術室など、清潔等に十分な配慮が必要とされている区域などにまでは、補助犬ユーザーも無理に補助犬を入れようとは考えていません。
身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために より
国内のすべての医療機関が受け入れをスムーズに行ってほしいものです。