新聞記者さんが盲導犬と歩行体験

 

盲導犬と歩行体験 目隠しで記者参加 2014年10月18日

アイマスクをかけて盲導犬を体験する記者=東京都練馬区で

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 盲導犬オスカーが刺され、視覚障害者の女子生徒が蹴られる事件が相次いだ埼玉県。盲導犬への誤解や理解不足が原因で、利用者が負担を強いられる実態も浮かび上がった。盲導犬と一緒に歩くというのは、どういうことなのか。オスカーを育成した公益財団法人「アイメイト協会」(東京都練馬区)で、月に一度開催されている歩行体験に記者も参加した。 (井上真典)

 「盲導犬は目的地までの道のりを覚えているわけではありません」。スタッフの塩山麻衣子さん(27)が参加者二十二人に説明する。曲がり角や交差点で犬は止まる。そこから直進するのか、左右どちらに行くのかは利用者が指示し、目的地を目指す。指示は英語で行う。「待て」は「WAIT」、「進め」は「GO」。日本語だと異なる言い方が多いからだという。

 アイマスクをつけ、ハーネス(胴輪)を左手に握り、ラブラドルレトリバー(一歳半、雄)と歩いた。

 「力を抜いて」と塩山さんから注意を受けるが「何かにぶつかりそう」との恐怖が消えない。盲導犬は健常者と同じ歩行速度で歩くよう訓練されている。慎重になって歩くのが遅くなるため、犬に引っ張られ、十数メートルで方向感覚を失った。

 体験に参加した東京都多摩市の小学五年斎藤由姫(ゆき)さん(10)は「犬の足を踏みそうで歩きにくい」、同級生の深田真帆さん(11)は「頭の中でどこにいるか考え、指示を出し、車の音にも気を配るなんて大変」と話した。

 アイメイト協会では、利用者が盲導犬と生活する前、互いの信頼関係を築くため、協会で必ず寝食を共にする四週間の合宿を行う。歩き方や犬の健康管理について学ぶといい、塩山さんは「合宿中に約百二十キロの距離を歩く」と話した。

 盲導犬を十七年間利用している長瀞町の教諭新井淑則(よしのり)さん(53)は「好きなときに、自由に、どこにでも行けるようになり、復職も果たせた」と盲導犬との出会いに感謝を示している。一九九五年に網膜剥離で失明した新井さんは絶望し、自殺を考えたこともあったという。

 外を歩くことには「犬を百パーセント、信頼してるからこそ歩ける」という。駐車場に迷い込んだこともあったが「犬も完全ではない。『頑張って歩こうぜ』って、話しかけながら歩くんです」と語り、続けて「孤独じゃなくなりました」と話していた。

 

以上、東京新聞から転載

記事URL

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20141018/CK2014101802000138.html

 

 

 

 

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